ベルリンのコントラバス奏者高橋徹のBlog


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スネークウッド

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先日、コントラバスの弓の話を書きました。18/19世紀のフランスから始まりコントラバスでは現在のジャーマン弓の形が出来たのが19世紀終わりから20世紀初め、フランスの流れを汲む、フランスで修行/制作活動を経てドイツに工房を開いたマイスター、フレッチナー、ニュルンベルガー、ラウ、バイドハースと名前を挙げればキリがありません。
余談ですがドイツの弓作りに限れば、戦後国が東西に別れましたが弦楽器の工房が多くあった地域は東ドイツ、それで現在は70年代くらいまでオールドと呼ばれるのかなー?戦後製作された弓の多くは東独製なのです。
ヴァイオリンからチェロまでもコントラバスの弓もその材質はほとんどがフェルナンブーク(ペルナンブコ)という南米原産の木材です。オールド弓のほとんどがフェルナンブークと言って間違いないでしょう。
ドイツのここ50年間の弓の質の低下は、大量生産、工房というよりも工場生産に移行した事と材料のフェルナンブコが東側であるが故に手に入れにくかった+材料自体の枯渇、そして質が落ちても売れるという需要の拡大が要因と言えるでしょう。
1930年代までのオールドはやはり素晴らしい。フランスの弓作りを体験したマイスター達がたくさん居た事、このフェルナンブコもたくさんの中から良い材料を選べる環境があったのだと思います。
1930年頃のH.R.Pfredszchner社のカタログには、最高級のコントラバス弓(ジャーマン)とは別にコントラバス弓のページがありそこにイタリア式、フランス式、ドイツ式の3モデルが載っています。戦前のベルリン国立オペラの映像を見ると首席がフレンチとジャーマン、テュッティにもフレンチ奏者が居ますが、フレチナー社でも3タイプ販売していたくらい持ち方が混在していました。これは歴史的には30年代くらいからジャーマンに統一し始め20年前の壁崩壊時には東西合わせて180あったドイツのプロオケはジャーマンで統一していたという歴史の流れなのでしょう。前回にも書きましたがジャーマンとフレンチ、全く別の奏法でどちらが正しいとか良いとかは議論する意味がありません。少し前までフレンチは存在しなかったドイツ、80年前のフレッチナー社のカタログにはドイツ製のフレンチ弓が載っていたことが面白いのです。もともとガンバから始まり、バロック弓、ドラゴネッティ弓などジャーマン弓の先祖の歴史は古いですが、今僕らが使っているジャーマン弓は新しい発明だったと言う事、そしてそれがコントラバス奏者によって弟子達に伝えられ広まったという事です。
話をフレッチナー社の1930年頃のカタログに戻します。その3タイプの弓が載っているページにフェルナンブコ以外にブラジルウッド。スチールウッドなど数種類の材質が紹介されていました。当時から歴史的にもフェルナンブコが主流と言うか一番の材料だったのですが、コントラバスに限っては他の木材を使っての試みもされていた様で、実際数は少ないですが、無名のオールドでは現在もフルナンブコ製以外が残っています。これは将来の材料枯渇を危惧しての試みだったのか?既に80年前でも良い材料の入手は難しかったのか?それとも良い材料を追求しての事だったのか?多分3つともその答えだと思います。
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スネークウッドというのは古来から木はあったのでしょうが弓の材質としては新しい、僕が知ったのは90年代です。材質は硬く比重は高い、その木目の美しさから他での需要も多いらしく高価な木材だそうです。ドイツではザイフェルトが先駆けでしょうか?重いから良い音が出ますがかなり高価なザイフェルト作のスネークウッドを手にしても欲しいとは思いませんでした。ただ堅めの木なのですが作り手の工夫によっては可能性のある材質と思っていました。
写真はそのスネークウッドの弓です。下3本は名無しのヨーロッパ製、新作の弓で良いと思ったのは初めてです。なぜ名前が入っていないのか?試作品で出来が良くないから?でもフランスの弓作り?かと思う様な美しいヘッドはすぐに気に入りました。弾いてみるとオールドの極上弓とは違いますが堅いながらもしなやかな部分も持ち、HILLの5弦で本番で弾いた時には(ベートーヴェンの5番でした)良くて驚きました。価格も妥当だったのですぐに手に入れました。経年変化が無いことを祈りますが手元に来てから2年近くになりますから大丈夫でしょう。オケで(5弦で)弾く時にはなかなか良いです。
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一番上は7月から預かってるスネークウッド。やはり刻印はありませんが中国製です。ライプチヒの楽器商が仕入れにいったとき、さんざん見て回り唯一良かった弓だとの事ですが、確かに良いです。フランスドームでCavalliでMozartプログラムを弾いたとき、3本持っていって結局この弓が一番良く本番はこれで弾きました。滅多には無いらしいですが中国にもたくさんの作り手が居る、中には特別なのがあるのも道理ではありますが、驚きました。
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弓としてより美しいのは下の3本、一番上の中国製も良いのだけれど特に真ん中の2本は見た目も弓としても驚きです。

さて、今日も晴天で始まり天気は保つらしいです。まずはMarkt、そして仕事を片付けて夕方には日本からお客様です。では楽しい一日を!
by Toruberlin | 2010-08-25 08:04 | 楽器と弓の話 | Trackback | Comments(2)
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Commented by みつる at 2010-08-25 23:32 x
スネークウッドはバロック弓では一般的ですね。
ここまでの円高は、日本に行く時のことなどを考えると…です。
Commented by Toruberlin at 2010-08-26 08:23
そうですね、バロック弓は僕のもスネークウッドです。当時のオリジナルでは有り得なかったスネークウッド、細くてもしっかりしているからか?
確かにユーロを円に替える気はしませんねー、あまり考えない様にしてます。