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9. in der Philharmonie

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上智大学のオーケストラを50年以上指導なさってる汐澤安彦マエストロ。
僕にとってはベルリンに長いMちゃんの父上でありNちゃん、Aちゃん、Mちゃん三人娘のおじいちゃんでありますが、初対面は1975年の初め、羽田空港でした。マエストロと兄が一緒にベルリンへ留学のために旅立ったのですがHNDに国際線あったの?と思った方も多いか?まだ成田空港が開港する前のお話です。
そのときにヴァイオリンのMちゃんと見送りで会っていたのです。もちろん、鮮明に覚えてるわけじゃなくなんとなく、のちに彼女がベルリンフィル屈指のコンサートマスターL.シュピーラー氏に師事するためにベルリンに来た時、最初の何回かレッスン通訳に同行しました。シュピーラさんの良さは、それはオケでのソロはシュヴァルべ氏とならび何度も聴いていて感服していましたが、まだ20代ではコンサートマスターの仕事の多くを理解していなかった僕は、ベルリンフィルのコンサートマスターでもありすごい人だという認識はありましたが、でもその程度でした。
Witt先生が定年を3年早く退団し、すでに引退していたヴィヴィオラ氏とハルトマン氏と正団員のコントラバス奏者全員を自宅にお招きになりました。最後の弟子としては料理上手の奥様がフルコース全てを準備なさると聞いて給仕役を申し出ました。数年前にひょんなことから(日本人シェフオーナーのイタリアンの給仕が、夏のヴァカンス前にマンマに早く会いたくなって2週間ちょっと早くイタリアに帰ってしまった)思いがけずイタリアレストランのバーを2週間担当することになり(ドリンク、バリスタ役も含む)使っていた足元までの白い前掛けを記念に戴いていて、それを着けて参加。「お、今日はToruがギャルソンかい」とからかわれながら、先生が40年を過ごしたベルリンフィルのバスセクションのお仲間との最後の会、その場に居ることが叶いました。
その詳しい話をしてると先に進まないので、、、。
どのオケもセクションの予定調整係がいます=トラ係。84年に初めて出演させていただき、カラヤンアカデミーは滞在許可をもらいましたが奨学金は貰えず、先生が試験的に「お前が一緒に弾く仲間に気にってもらえれば正式なエキストラとして出演できる」と機会をくださり、その時のプロコフィエフの5番は暗譜して望み、その後ベルリンフィルで弾く機会を得ました。2年契約の話もK.S.さんが推薦してくださり(先生は自分の生徒を推薦することはない、意地悪じゃなく、そういう方でした、それだけご自分の影響力をご存知だったんです)結局はもう一人の首席の生徒と僕の二人からになり、賛成票の差じゃなく僕には反対票があり叶わなかったとKさんが話してくれましたが、感謝してます。Kさんがまだ首席になる前の話、最初のトライアルで隣に座り、絶賛してくださったのはヴァッツェルさんとランケさんだったと先生が後に教えてくれました。
ゲスト出演も80年代で終わり、僕もベルリン室内オペラの首席として忙しくなり壁崩壊直後は初の東西ベルリン融合アンサンブルであったカンマーフィルハーモニーの創設から参加、そして先生が退団なさった頃はDSOの前身、RSO(ベルリン放送響)で弾かせてもらい始めた頃でした。
今の本題はL.シュピーラー氏です。
オケのエキストラというのは様々とは思いますが、利権みたいなところもあります。本当はそうするといつかはオケの縮小という自分の首を絞めることに繋がるかもしれないけれど、オケの団員同士がゲスト出演を交換するなんてのも、あります。もちろん招いて欲しいけれど、お願いに行くのも、なんか違う。難しいものです。僕は基本的に自分から売り込むことはしません。
いつも人事を尽くして天命を待つ、と思ってきました。
で、そのWitt先生の退団パーティーで当時調整係だったPが「まだベルリンにいたんだ、弾きに来ない?」と声をかけてくれました。後で判ったんですが、前述したようにWitt先生は身内の推薦はしない人。84年の最初の試験一回だけでした。PはFreddyは何も言わないし、もう他の町のオケに入って居ないんだと思ってたよ!と翌日に電話をくれて3-4年ぶりの出演がL.シュピーラ氏の退団記念コンサートともいうべきゲルゲイエフ指揮でプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲とショスタコーヴィチの8番でした。Witt先生は退団前だけどすでに休団なさっていて先生の五弦を使わせていただきました。
話がずいぶんそれましたが、そのベルリンフィルにしては異例のコンサート4回(一度は同じプロで青少年コンサート)ショスタコは大好きですし、もちろん燃えました。第3プルトだからKBの前列からオケ全部が見える。もともと楽譜は半分の時間くらい見ない演奏スタイルですから久々のベルリンフィル、もうアバドの時代になってましたが「お、久しぶりだな!」と目線や笑顔をくださるヴァイオリンや管の方々、今でもリハから本番の空気まで覚えています。
8本が5本編成でのプロコフィエフ、65歳のコンサートマスターがソリストとして協奏曲を演奏する、ってのは当たり前のことではありません。しかも自分のオケとはいえ、ベルリンフィルとです。
退団コンサートと上に書きましたが、退団記念に、そう記念として最後に弾く、って風にも思えるじゃないですか。
とんでもない。
リハから本番、その全てが感動の連続でした。
息子のCは学生オケで一緒で、Mちゃんのレッスンに同行したから面識もあり、またオケでもご一緒していたわけですが、ソリストとしての演奏を聴き、その偉大さに感動しました。これは僕だけじゃありません、オケのメンバーの表情にも常に見えました。
その素晴らしさの例として、2回目のコンサートだったか、第二楽章はチェロから上のピチカートで始まりヴァイオリンソロが加わります。12小節だったか休みでKBが加わります、かなり目立つ大事な箇所。
プロコフィエフの美しいメロディを歌い上げるシュピーラー氏、聴き惚れます。で、KBが加わるとこなのに首席のZ教授は楽器にもたれたまま、他のメンバーも動かない。一瞬考えましたが弾く場所は間違いない。D線のAから独り弾き始めたら隣が次の音で、前例がその後に入ってきました。感動のコンチェルトが終わり、休憩時間に「果たして良かったのか?」と考えました。休憩時間にはセクションには誰にも会わず、後半の8番も楽しく弾きながらも時々、是も非も何のリアクションもなかったがグループはトップに従うのが鉄則、一緒に落ちるべきだったんではないか?Z教授が落ちることなんて歴史上、かなり稀なはず。悩んだとまでは大げさですが頭の隅にありました。
シンフォニーが終わり先生の楽器を拭いてバックステージへ。KB部屋はバーカウンターの右端を抜けるのですが燕尾のままKさんとRさんが立って居て「こっちこっち!」と招いてくださる。ビールを渡され、乾杯。
「お前が今日、バスセクションを救った」と笑顔でおっしゃってくださいました。

汐澤先生との初対面から話が長くなってしまいましたが、MちゃんからL.シュピーラさんの素晴らしさ、Witt先生の音の出し方にも繋がる、今はあまり主流じゃない力強いけれど柔らかくsempliceな弦楽器の音を思っていたら書きたくなりました。
ディジタルコンサートホールの契約がある方は上記のコンサートもご覧になれるはずです、たしか1992年だと思います。

兄がベルリンに留学したのは上智のオーケストラでカラヤンコンクールに参加したのがキッカケでした。それがなければ僕がベルリンに来られていたかはわかりません。
6年前に吹奏楽と、弦楽アンサンブルのコンサートをフィルハーモニーで汐澤先生が指揮なさった時に声をかけて戴いて30数年ぶりの再会を果たしました。第九は二年前にもベルリン公演があったのですが僕は帰国していて参加できず。今回は初めて、汐澤マエストロの指揮でフルオーケストラでした。(自分でも今日の日記がここまで長くなるとは思いませんでした、、、)
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満員のフィルハーモニーでの第九でした。
独日合同のオケと合唱団。オケが80人、合唱は140人でした!

コントラバスは8本、低音がお好きなマエストロ、抑えて!はほとんどなく、たっぷり弾かせてくださいました。
リハ二日目はフィルハーモニーで。女性KB二人とバックステージでビールをリハ後に飲んでからホテルへ。
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良いお天気で、晩御飯に出発まで1時間以上あったのでホテルから歩いてCafeEinsteinにご案内しました。Wien風のカフェレストラン、僕がベルリンに来た頃から(当時は憧れの店でした)ほとんど変わってません。
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DSOを最近退団したクリスチャン、3月のブルックーナー交響楽団にも来てもらいました。僕の楽器を久々に試すの図。
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GPは1730の予定前に終了しました。バックステージで日本からの皆さんには食事が用意されてましたが、僕が簡単な焼きそば食べに出ると話したらお二人もご一緒に。
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300円の塩焼きそば、野菜しか入ってませんが(これに色々トッピングできます)これが悪くない。
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そして並びのアンペルマンショップにご案内してお買い物。
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DSOの仲間とフィルハーモニーでの昼休憩コースを再現しました。ベルリンで一番美味しいアイス屋の一つでテイクアウト。ここのヨーグルト、ピスタチオを久々に食べましたが変わらず美味しい!
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そしてコンサートです。
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最近の主流になってる「速い、軽い」鮮やかとかキレが良いとは違う軽薄が多くなってると思うのですが、汐澤マエストロの第九は音楽は停滞なく、しかしたっぷりと歌わせてくれる。流れるけれど、小節の終わりまで端折らない(これが、それが軽さをもたらすと思うのか、実に多いです、最近)
意味のある「残心」
楽しく弾かせていただきました。
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終演後、母と家内、Wienから帰ったばかりのH君と乾杯し、コントラバスセクションと乾杯してから、バックステージに出てらしたマエストロと乾杯させていただきました。真ん中はベルリンの大先輩T次郎さんのお弟子さんでマインツ歌劇場副首席のT子さん。素晴らしいティンパニでした。
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C君はW大生。ソロオーボエで頑張ってました。小岩の兄のお弟子さんです。
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コトブス歌劇場首席のMと鹿児島のKさんと。
終演は21時過ぎ、23時過ぎまで奏者入り混じって打ち上げ@バックステージでした。
フィルハーモニーでの最後の写真はマエストロの可愛いお孫さんMちゃんも一緒に。
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22時に多くの日本メンバーはバスでホテルへ。先生もMちゃんが送り、そう言えば最後は先生が皆さんと一杯!と仰ってたのを思い出しHotelBerlinに行けば、テーブル2つにずらっとみなさんお揃いでした。
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やっとゆっくり話せたコンサートマスターのKMさんと。
「楽しかったですねー」
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Japan Brucker Sinfonieorchesterと同じく、みなさん仕事を休んでの参加ですから翌日には帰国した方が多かった。土曜日着で水曜に帰国!です。

細かいことを言えばキリがないけれど、準備万端のメンバーをマエストロがまとめてくださって約220人が8時間に満たないベルリンでのリハーサルで素晴らしいコンサートが出来ました。
こういう機会、どんどん増えていって欲しいですね。
今回のKBセクションの写真で長い今日の日記、終わります。

今日は友人二人がもうすぐベルリンを去るので、奥様4人がランチにおいでになります。
さーて何を食おうかな?
大体は決まってますが、今から仕入れに行って来ます。
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by Toruberlin | 2017-06-29 08:28 | 音楽の話 | Trackback | Comments(4)
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Commented by Yusuke at 2017-06-29 18:40 x
汐澤先生には大学のオケの授業で大変お世話になりました…。
「右向き矢印を書いておきなさい」(遅くならない、という意味)とか、「コントラバスは…3本しか居ないの、今日は?」(8本います!)とか…色々言われっ放しでしたが(笑)お元気にご活躍の姿を拝見して嬉しく思います。
ホントに低音に拘る先生でした…時に、自ら学生のトロンボーンを奪って(?)ド迫力の音を聴かせて頂いたのも良い思い出です。
先生にはこれからも更に「右向き矢印」でご活躍頂きたいです!
Commented by みさ at 2017-06-29 20:30 x
素晴らしいコンサートでしたね。私も聴きたかったです。Cくん、大舞台を前にビビっていたらしいですが、うまくいって良かったですね。きっとこれからの人生の糧となるでしょう!
私も年末第九の予定があるので、楽しく頑張りたいと思います。
Commented by Toruberlin at 2017-06-30 18:37
そうか、Yusukeちゃんも東京音大だったね。
てことはO澤もお世話になってたわけか。
読響トロンボーン奏者だったことは忘れてました。
桐朋出身の方だけど指揮をする術に支配されてない(出来ることと、それがメインとは大違いだよね)それは少数派と思う、残念なことに。今回の第九、演奏したことは日本の奏者よりも少ないかもしれないけれど僕にとっては圧倒的に最高の指揮でした。右向き矢印でご活躍、いただきたいね!

学生オケだとKBが遅れることもあるんだろうし、また先生もきっと変わったんだと思うけれど、本文にも書いたが小節を最後まで大事に演奏し、かつ、もちろん停滞しないのは、これがあまりに為されていないこともあり、嬉しかった。
休符も音楽とは言うけれど、三拍子の二拍目、三拍目も音楽、それぞれのキャラもあるよね。Witt先生にはまず、三拍子の2拍を教わった。そして3拍目も大事にしたいけれど(もちろん停滞することなく)タコな棒やオケでは抵抗する気もしなくなる。だから室内楽が依り好きになってしまうのだけど、マエストロが、自分と同じ様な解釈で(または自分と違っても共感できる、最低でも理解できる音楽で)指揮してくれたら、オケは楽しいね。
Commented by Toruberlin at 2017-06-30 18:43
みさちゃん、素晴らしかったよ!
Japan Bruckner Sinfonieorchesterでも思うけれど、同じことを日本でも出来たら良いと思う。
第九、年末に吹くのね。Veile Spaß!