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夏だけど、うどん。

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手打ちうどん歴は長い、30年くらいか?中華麺もそれに近いはずなんだが、なかなか上手くできなかったこともあり得意になったのは近年、ですがうどんは初期から失敗なしでした。こちらには強力粉や中力粉はどこでも売っていて、しかも安価。塩は昔からシチリアはトラーパニの海の塩をチェントロイタリアのおかげで使ってます。でもいま思うと、80年代は岩塩の方がメインだったな。夏なのに雨が多くて寒い日が続いたのでうどんを打ちました。
まずはこの池波正太郎さんの文章をどうぞ。「日曜日の万年筆」からお借りします。

むかし、、、約五十年前の東京に片隅に暮らす三十前後の女がいた。
この女は夫と離婚しはたらきながら男の子二人と自分の母親の面倒を見ている。
躰は丈夫で一度も病気をしたことがない。まず、はたらきものといってよいだろう。
この女は月に一度だけ、鮨屋へ入り、大好きなマグロや赤貝のヒモなど、鮨を食べる。鮨が大好きな女なのだ。このときは一人きりで食べる。子供たちを連れていくだけの余裕が財布にないからだ。
いかに困っていても、月に一度は、かならず一人きりで鮨を食べる。
これが、他に何のたのしみもなくはたらきつづけてる女の、ただ一つのたのしみ、、、、つまり生き甲斐だった。
このように、鮨の一皿だけでも、二人の子供と老婆を養う活力が出たものらしい。もっとも、五十年前の女の子とではあるが、、、。
こういう女だったが、子供たちへは、たっぷりと食べさせたので、二人とも小学校の校医によって、栄養は「甲」になっている。
この女がわたしの母だ。(続)

時代が違うと言ってはそれまでだが、一ヶ月に一度の好物の鮨で、またひと月頑張れる!今はどうかなー?
お手軽簡単時代で、時短と称して、それが効率良いからと受け入れられ、また出来合いで良しとし、満足もしてしまう。
それで幸せなら良いと思う反面、勿体ないんじゃないかな?と物事の過程を取っ払うことを憂います。
音楽するには、大事なことだから。いや、本当はなんにでも大事。
板前修行は掃除から。
やーさんや噺家の新入りはトイレを磨きあげることから始まる。
昔は芸は盗め、と言われた。Witt先生も「一番はベルリンフィルでの演奏を聴いて、見て勉強することだ!」と仰ってましたからカラヤンとベルリンフィルのコンサートはほぼ全て聴かせてもらいました。もちろん、レッスンではそれについての疑問があれば答えてくださった。今の学生諸君、自分の先生のコンサートに行ってますか?オケ弾きになりたければオケ奏者に(も)師事するのが王道で、それはレッスンだけじゃなく舞台から学ぶことは多い。まさに言い方は悪いけど「盗む」ですね。
第一首席奏者の恩師のレッスンをたっぷり受け、コンサートは同じ演目でも全てと言って良いほど聴かせてもらい、また一緒に(お隣は一度もないけれど)弾かせていただいたのは幸運でした、ありがたい。
それだけお世話になったけれど、その修行にはやはり大事な過程がたくさんあった!と実感しています。
茹でたら食べられるうどんと、そのうどんを粉から自分で打つ過程と、同じじゃないけれど似ている。
魚だって自分で捌くか、捌かれてるのを食すかでどう違うか?経験した後にどうするか決めれば良いわけで、それは捌いたことがなければ知り得ないことです。どれだけ美味しい醤油ラーメンが自分で作れるということも。
知る、それを選別する、試行錯誤して自分の中で昇華させ、自分のものにする。
学ぶは「真似」から来ているそうです。
その真似から知ったものを、どれをどのくらい、どのようにownにするか?
全てのことに共通します。

話が逸れました。
もう一箇所、池波正太郎先生の文章からお借りします。

人間という生きものは、苦悩、悲嘆、絶望の最中にあっても、そこへ、熱い味噌汁が出て来て一口すすみこみ
「あ、うまい」
と、感じるとき、われ知らず微笑が浮かび、生き甲斐をおぼえるようにできている。
大事なのは、人間の躰にそなわった、その感覚を存続させて行くことだと私はおもう。(続)

そう思います。でも、味がわからなかったら、、、、、。(これ、音楽も同じ。わからなかったら?Maßstab=尺度を持っていなかったら?)

幼い頃から今まで、周りに食を大事にする人が揃っていて、ありがたい。
親の影響は大きく、そこで育てられた兄もですし、家内も両親から受け継いだ。
Witt先生ご夫妻もまさにそうで、ベルリンフィルのリハの合間には休憩が3時間以上ありますが、車をすっ飛ばしてお帰りになってました。ドイツの家庭は朝と夜は軽く、昼はしっかりフルコースを毎日なさってました。もちろんお客さんの時にはメインは晩餐になりましたが、結婚してから毎日、奥様はちゃんと料理なさってました。
僕は実は一人だと、外で済ましたり出来合いを食べたり電子レンジを使うことはないけれど(ベルリンには持ってない)かなりシンプルです。でも家内は一人でもちゃんと作るらしい。これにはエネルギーが要るし手間もかかります。普段の晩御飯もほとんどは家内が作ってくれますが、毎日は大変と思います。でもそれが義務行為でなく、喜びを見出しての、そして自然な楽しい行為なら別次元の話だし、幸せですね。
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僕は作りたい時に、例えば来客に合わせ凝った料理を作ります。そして全ての麺類担当です。
うどんは鶏鍋の〆用に打つことが多いんですが、たまには鶏うどん、美味しゅうございました。
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出汁とったり、打ちながら古橋さんの純米酒。初陣の純米酒は冷やが(=常温)美味いです。
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近頃は冷やし中華の季節でもあり中華麺が多かったですが、ひさびさのうどんでした。(少し前ですが)
もう少し細めに打って、冷やしうどんも美味しい!です。

今日食べる食事が明日の自分になる。
gourmetって観点じゃなく、人は生きる為には食べなければならない。そして食べるなら美味しく、楽しく。

全てに余裕がなくなってると言われてる現代、「もっともっと」と少しでも儲けようと(言い方は悪いか、仕事を)頑張る。
時代になくなってるなら、自分で余裕を作るしかない。アリとキリギリスの、後者になってしまう危惧はあっても。
肝要なバランスを摂りたいですが、アリ寄り過ぎてもつまらない。
池波先生も書いてらっしゃいますが「現金がなければひと月も生活が成り立たなくなってしまった、一年じゃなく」
そういう世知辛い現代、どう楽しく過ごしていくか?
自分の本分、本道をしっかりと持ち、極める為に日々過ごし、かつ時間や気持ちに余裕を持てるようにするには?
を考えることが、その答えと思います。

しばらく楽器を弾けなかったのですが、やはり本道は音楽。
Busanから良い音がし、Scarampellaで美しく奏でられると、それだけで幸せになります。
シンプルな料理でも「天にも昇る」心地になるように。
その躰に備わった感覚を存続させることが、大切ですね。
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by Toruberlin | 2017-07-28 23:59 | ご馳走/料理 | Trackback | Comments(0)
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